オー!マイ・ハワイ!
「うちさ、ずっと昔から会社やってたんじゃなくて、俺が幼稚園のときに、親父が独立して始めたんだ。

軌道に乗るまではけっこう大変だったみたいで、生活は質素だったと思う。外食なんか、たまにしかしなかったし。こうやって贅沢するようになったのは最近だよ。

家もじいさんの家にずっと住んでたし。こじんまりしてる方が、落ち着くのは事実だな」

「なんとかの一族みたいなの想像してた」

「そんな上流階級じゃないよ、うちは」

修二は笑って話を続ける。「まなみ、もし家族の誰かが俺たちのこと何か言っても、俺はまなみと一緒にいることを選ぶからね。それだけは覚えてて」

まなみは、うんと言って修二を見つめた。きのう付き合ったばかりの自分に、ここまでしてくれる人はもう修二しかいないだろう。嬉しくて仕方がなかった。

「まなみのご両親にも、挨拶に行かなくちゃな」

「うちはお父さんがちょっと頭硬いかな。お母さんは、私の決めたことだからっていつも言ってくれるから大丈夫。私も、親がなんて言っても、修二と一緒にいるよ」

修二はこちらに笑顔を向けると、また前を見て運転を続けた。

「そうだ、途中でクアロアランチに寄らない?」

「お昼食べるの? 私、まだお腹すいてない」

「ははっ、ちがうよ。クアロアランチって地名で、恐竜の映画のロケ地になったところ。自然の中でジップラインとか、乗馬がてきるよ」

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