オー!マイ・ハワイ!
 「スマート農業をやっているイノリファームという会社ご存知?」

 「はい、話はきいたことがあります。かなり業績を上げている注目企業だとか」

 まなみは隆史から、スマート農業を取り入れてもっと収穫量を増やしたいという話を聞いていた。何社かと話し合いをしており、そのうちのひとつがイノリファームだった。

「イノリファームの副社長、会長の御子息ね。その方がハワイでもスマート農業をひろめようと、地元企業を対象にした展示会を開いたの。その打ち上げパーティーよ」

「里穂さんとイノリファームさんとは、どういうご関係なんですか」

「私、こう見えても家庭菜園が好きでね。都心から少し離れたところに畑を借りて、野菜を育てているの。それがご縁でCMに起用されることになったから、それで呼ばれたのよ」
 「そうだったんですね」

 「まなみさんは農業にご興味はあるの?」

 「元婚約者は米農家でしたので、よく手伝いにいきました。土をいじるのは好きです」

 「ならよかった。副社長にも、あなたをご紹介するわね」

 「わたしが行ってもよいのでしょうか?」

 「大丈夫よ、私のお友だちと言っておくから。それに、ハワイだけじゃなくて、日本の企業の海外出張組も多数呼ばれているみたいだから、お気に入りの方がいらっしゃればどうぞその方と」

 「私、そんなに飢えて見えますか?」

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