オー!マイ・ハワイ!
「まあまあ怒るなよ。じゃあちょっといってくるわ」

「どこいくつもり?」

「まかせとけって、ちょっと脅かすだけだから。明日のバーベキューがなくなればいいんだろ?」

「よけいなことしないで! マイク!待って──!!」

そう言い終わらないうちに、マイクは雑踏の中へ向かい、見えなくなった。

顔から血の気が引いていく。修二とまなみを探しに、詩乃は花火大会の会場へ走り出していた。

──はぁっ、はぁっ、はぁっ。会場は人が多くごった返している。この中で見つけられるの? 何としても見つけなきゃ。まなみさんに何かあったら……。

あちこち駆けずり回っていると、修二の姿がパッと目に入った。

「お兄ちゃん!!」

走って駆け寄るが、修二しかいない。そんな……まなみさんは? どこ?

「詩乃、どうした? そんなに慌てて」

「まなみさんは?」

「トイレに行ったけど……詩乃!?」

詩乃は最後まで話も聞かず、トイレの方へ走り出していた。血相かかえた詩乃の様子に、修二もあとを追いかける。

修二はキャメロンに言われた、『まなみをひとりにしないで、一緒にいなさい』という言葉を思い出していた。しまった、これのことか。

全速力で走っていくが、詩乃はもう雑踏で見えなくなり、トイレに近づくほど人が増え、走るのはもう難しかった。

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