オー!マイ・ハワイ!
ふと見ると、杖を持ったおじいさんがベンチに座っている。修二は、とにかくそれを貸してもらって、ふたりを探して雑踏の中へ消えていった。



まなみさん、まなみさんっ!! 無事でいて!!

マイクは酒が入ると手が出やすい。ケンカを始めると手がつけられず、出禁にされたクラブもあるくらいだ。

さすがに女の子に手は出さないだろうとは思ったものの、詩乃は心配で仕方なかった。

詩乃はなんとかトイレの前までくると、屈強なマイクとその友だち二、三人に囲まれたまなみを見つけた。まなみの顔はかなり困った表情で、嫌がっているのが遠目にもわかる。

「マイク! マイク! なにしてんのよ!?」

詩乃はマイクの腕をつかんでキッと睨んだ。

「誰だよ? このガキは?」

マイクの友だちが詩乃の腕を掴みかかる。

「離してよ! まなみさん、いきましょう」

「いいじゃん、ちょっと一緒に遊ぼうよ」

マイクの友だちは、しつこく詩乃の腕を引っ張った。

「ちょっと、嫌がってるじゃない、やめなよ!!」

まなみは日本語で啖呵をきるも、相手には通じない。

「お姉さんも、そんなに怒んないで。俺たちと遊びに行こうよ」

まなみは、浴衣の袖をつかまれてひっぱられる。

「やめてよ! まなみさんにさわらないで!! 離して!!」

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