オー!マイ・ハワイ!
10.富山に凱旋
「まなみ、支度できた?」
日本に帰る日の朝、バタバタと支度を急いでいた。
「うん、オッケー。忘れ物なし」
「荷物、持つよ」
ヴィラでの滞在もあっというまに過ぎてしまった。仕方のないこととはいえ、さみしさが募る。
「飛行機、14:30発だからまだ早いけど、のんびり行こう。ラウンジで昼も食べられるし」
ハワイとお別れするのは悲しい。まだまだここにいたかったが、ケガじゃしょうがない。気を取り直して、タクシーで空港へ向かった。
ちょうどキャメロンの家の前を通りかかる。家の外でキャメロンが手を振っていたのでタクシーを止めてもらった。車の窓越しに声をかける。
「通ると思って待ってたの。まなみさん、ケガの具合はどう?」
まなみさん? 違和感があったが、そのまま話を続けた。
「はい、おかげさまで大丈夫です。お世話になりました」
キャメロンは穏やかにほほえんで、二度うなづいた。
「いろいろありがとうな。またくるから」
修二は何か悟ったようで、いつものキャメロンに話す話し方と、少し違った話し方をした。
「修二、まなみさん。いつまでもお幸せにね。また会えるのを楽しみにしてる」
キャメロンは見えなくなるまで、手を振ってくれていた。キャメロンと修二の口調がなんだか変だった。違和感を持ったままだったが、修二も何も言わなかったので気にしないことにした。