オー!マイ・ハワイ!
「隆史さん、すごかったね」

「本当だよ、参った。最近電話もよくかけてきたから。なんでここがわかったんだろうね」

「隆史さん、顔広いからね。誰かに教えてもらったんじゃないの?」

「そうかもね」

「さあ、こんどはこっちの番。ハワイで何が起こったか全部教えてもらうよ」

芽衣はふふっと笑みを浮かべた。
そこから話ははずんで、けんちゃんの閉店時間までしゃべり倒していた。芽衣の家に帰ったのは、日付けが変わった1時頃だった。

「ふあぁ、芽衣、大丈夫?」

「へい、大丈夫であります」

こりゃダメだ。弱いのに飲むからだよ。芽衣をベッドに寝かせ、押し入れから予備の布団を引っ張り出す。何度か泊まったことがあり、いつもこの調子でまなみは布団を敷いていた。

暖房をつけ、やっと部屋が暖まってくる。まなみもかなり酔っていたので布団に倒れ込むとそのまま眠ってしまった。

まなみは頭痛と、眩しい光で目を覚ました。時計は朝の8時。シャワーをかりて、身支度を整えるとベランダに出た。富山の空気は澄んでいて気持ちいい。この空気ともお別れか。そう思うとさみしさがつのったが、東京での新しい暮らしにも期待が高まっていた。

芽衣はまだぐーぐー寝ていたので、メモを残し、市役所に転出届を出しに行った。手続きが終わった頃には昼になっていて、芽衣の分の弁当も買って戻った。

「おかえり。ごめんね、私起きるの遅くって」

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