オー!マイ・ハワイ!
 まなみは絞り出すような声で言うと、じっと隆史をみつめた。

「ごめん、ほんとにごめん……」

 下を向いて頭をさげたまま、隆史は膝に置いた拳をギュッと握りしめる。 「……もうだめなのね」
 「許してくれなんて言わない、憎んで恨んで呪ってくれ」
 「そんなことできるわけないじゃない!! あなたのこと、憎んだり恨んだり、ましてや呪ってですって? 私のあなたへの愛情はそれっぽっちしかないと思ってたの? 馬鹿にしないでよ!」

 まなみは、テーブルをバンと叩いて勢いに任せて立ち上がった。

 ハッ──と我にかえり慌てて座り直すと、うつむいて下唇を噛んで涙をこらえる。隆史はシクシクと泣きはじめた。

「泣かないでよ、泣きたいのはこっちなんだよ…」

「……まなみ、ほんとにごめん。いままでありがとう」

 隆史は立ち上がって頭を下げる。伝票を手にとると会計をすませ、足早に喫茶店を出ていった。

 入り口のベルが、カランカランと名残惜しそうに鳴っている。

 まなみは目に涙をためて隆史を見送った。ショックに打ちひしがれて、呆然と喫茶店の窓から空を見上げると、雲が晴れて明るくなってきていた。

 「雨、もうすぐ上がりそう」
 
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