オー!マイ・ハワイ!
日をまたぐ直前のバルコニーで大声を出したものだから、修二がビクッと驚く。

「修二……詩乃ちゃんに私を婚約者として紹介したよね…」

「あっ! あぁ……そうだな」

「そうだなじゃないよ。待って待って、まだ決めてない。婚約者やるって言ってない」

うろたえて、バルコニーを右へ左へ歩き回る。酔いも回ってヨロヨロしていたが。

「わかった、わかった。落ち着いて」
修二は部屋から水を持ってきて、まなみに渡した。それをぐいぐい飲み干す。「ぷっはぁ」

修二の持ってきた水をゴクゴク一気に飲み干して、まなみはふーっと大きく息を吐いた。

「落ち着いた?」
「なんとか」
「詩乃のことは気にしないでいいから」
「うん……」
「もうこんな時間だな」

修二は腕時計に目をやるとそう言って、まなみの頬をそっと撫でる

「婚約者、やるにしろやらないにしろ明日はノースショア行こうよ。レンタカーも押さえてあるし」

「うん、でも仕事は?」

「展示会は昨日までだったから。しばらくフリーだよ」

「わかった。いろいろ連れてってくれる?」

「ああ、いいよ。まなみが行きたいことろ、全部行こう。……もう遅いし、お開きにしよっか」

「また明日、ロビーでね」

「楽しみにしてる」

「ワインにお食事、ごちそうさま」

「じゃあまた」

< 34 / 154 >

この作品をシェア

pagetop