オー!マイ・ハワイ!
 まなみは家に帰ると布団にくるまって、泣きながらぐるぐると繰り返し考えていた。 隆史の親は血相変えてまなみの実家にやってきた。自分たちのせいではないのに、これでもかと謝ってくれたが、まなみの両親の怒りは収まらなかった。

 だからなのかわからないが、慰謝料の話が始まった。まなみはそんなのはいらないと断ったが、隆史もそれは承知だからと言って、結局もらうことになった。

 金額は結婚式の費用として向こうが出すつもりだったという500万円を提示された。そんなにもらっちゃバチが当たると言うと、せめて300万円は、ということで金額が決まった。

 親戚へのあいさつも終えて、やっと一息ついたところでまなみは熱を出した。精神的にも参ってしまって1週間仕事を休んだ。

こんなところで終わらない、終わらせない。私の人生は、ここから始まるんだ。

 そう自分を奮い立たせて、本屋へ向かう。ハワイの旅行本を何冊も買い込んで目が皿になるほど読みまくった。

 慰謝料の300万円、全部つかってハワイへ行こう。これ以上ないゴージャスな旅にしてやろう。めぼしいところに付箋をつけはじめると、100枚あった付箋は全て無くなった。
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