オー!マイ・ハワイ!
はぁはぁはぁ──
自分の中に、怒りなんかないと思ってだけど、けっこうあったんだ。まなみはそう自覚するとスッキリした顔で、足元でチョロチョロ遊んでいたレナとリポを抱き上げる。

「あー、スッキリした。これでつっかえも取れた」

パチパチと拍手しながら、修二が歩いてきた。
「すげーでかい声。向こうまで聞こえてきたよ」
「これでスッキリした」
「大変だったんだね」
「バレちゃった。でももう過ぎたことだしね」
「いい顔してる」
「そう?ありがとう」

あたりは夕焼けで赤く染まってきた。風が止んでしーんとする。

「修二は? キャメロンと何を話したの?」
「あー、俺もナイショ」

まなみには、言えないよな……。修二はさっきキャメロンに言われたことを思い返していた。「あなたが嬉しそうで安心したわ。由香もきっと喜んでいるわね」

テラスから入るとすぐキャメロンにそう言われ、修二はそう? と短く返事をしてソファに腰かけた。

「きのうから信じられないことだらけだよ。まだ夢の中にいるみたい」

「みすこん? だったかしら。そのときからずいぶん経つけど、隆史に出し抜かれたと怒っていたのがウソのようね」

コーヒーを飲みながら、キャメロンは感慨深そうに修二にほほえんだ。

「あのあと、何度かまなみに会ったけど、俺のことはまったく眼中なしだった。やっとめぐってきたチャンス、棒に振れば一生後悔する」

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