オー!マイ・ハワイ!
思わず立ち上がってキャメロンに言葉をぶつける。

「あなたにもまなみが必要なのがわかるわ。素直なあなたでいなさい。それとハワイにいる間は、まなみとなるべく一緒にいて」

「キャメロン、由香は許してくれると思う?」

「修二、何度も言うけど、由香はあなたの幸せを願ってるわ。悲しみが心の深いところでくすぶっているのはわかるけど、もういいのよ。あしたは、サンドバーへ行って、まなみを紹介してきなさいよ」

「いくらなんでも由香が、怒るだろ?」

「ちょっと待ってね」

キャメロンは、目をつむってボソボソ何かつぶやいている。スッとそれをやめると、まっすぐ修二の目を見た。

「ふたりが来るの、待ってるって」

キャメロンは穏やかにほほえむと、飲み終えたコーヒーカップを片付け始めた。修二はそれ以上なにも聞かなかった。テラスから庭に出ると、まなみが何か叫んでいるのが見えた。

「何してるの? あれ」

「あの子、婚約破棄された相手に、怒ってなかったみたいなの。だからここで吐き出していくよう言ったのよ」

「俺はてっきり、まなみの方からふったのかと……」

「ちがう、ちがう。あの子はふられたの。修二、あなたにとってまなみが必要なのはわかる。由香のことを乗り越えて、やっと好きな人にめぐり逢えた。だからまなみを守ってやって。とにかく一人にしないで、いつもあなたが一緒にいて」

< 61 / 154 >

この作品をシェア

pagetop