オー!マイ・ハワイ!
5.修二と由香

「修二、こちらは千波由香(ちなみゆか)さん。お前の結婚相手だよ」

そう父親に紹介されたのは俺が小学校2年生のときだった。いまどき信じられないが、父親の会社の大手取引先の社長令嬢の由香と、政略結婚することが決まっていた。

「由香です、よろしく」
握手を求めて手を差し出し、ニコリとほほえんだかわいらしいその笑顔に、小学2年生の俺はずきゅんと胸を撃ち抜かれていた。

「修ちゃん、鬼ごっこしよう! 修ちゃんが鬼ね!」
「待って、なんでいつも僕が鬼なの?」
「わたしを捕まえたら、かわってあげる」
「そんなー!!」

婚約者といっても、お互いただの小学2年生。
ちょくちょくお互いの家で一緒に遊んでいた。鬼ごっこをしたりかくれんぼをしたり、宿題を教えあったりして、幼なじみのように仲良く過ごしていた。

「修ちゃん! 今度、ピアノの発表会があるの。見にきてくれる?」
「えーっ! なんか恥ずかしいよ……」
「大丈夫だって! お花持ってきてね、待ってるから」

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