オー!マイ・ハワイ!
「由香お姉ちゃんは、修二お兄ちゃんのどこが好き?」

「えーっ、ナイショだよ。恥ずかしくて言えない」

「おしえてよー! お兄ちゃんにはナイショにしとくから」「ほんと? しょうがないなぁ……修ちゃんの1番好きなところはね、困ってる人を見るとすぐ助けにいっちゃうところかなぁ」

「あの小心者のお兄ちゃんが?」

「信じられないでしょ、困ってるおじいさんやおばあさんがいると、すぐそばに行って助けてあげるし、この前なんかヤンキーに絡まれてる女の子を助けてあげたのよ。ビックリしたわ」

「うそー! それで大丈夫だったの?」

「その辺にあった棒でヤンキー3人ぶっ叩いて倒しちゃったの。わたしあわてておまわりさん呼びに行ったわ」

「信じられない」

「見た目は小心者かもしれないけど、いざとなると、すごく優しくて強い。それが北山修二ね」

「ただの剣道バカじゃなかったんだ」

「詩乃ちゃん、あんまり修ちゃん怒らせない方がいいよ」

「ほんとだね」

ゲラゲラ笑いあう声は部屋の外までよく聞こえていた。

由香が住んでいる家は、俺の家から電車で二駅のところ。
中学生にもなると自分たちで待ち合わせをし、ランチをしたり、ゲームセンターで遊んだり、映画を見たりとごく普通のカップルに自然となっていた。

好きだとお互い言ったことはなかったけれど、そうであるのは明白だった。

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