オー!マイ・ハワイ!
由香が入院したのは高校3年生の夏だった。

高3の春ごろからひんぱんに風邪をひいて寝込むようになった由香。お見舞いに行っても、体が起こせないので寝たまま話したり、アザがなかなか治らず青いままだったりと、白血病の初期症状がでていたがこの頃はただの風邪だとみんな思っていた。

『由香、また調子悪い?』

か細い声、苦しそうな息づかい。日に日に、悪化しているのは電話越しにも分かるほどだった。

『うん、なんかめまいもよくするようになっちゃって……明日のデートまたでもいいかな』

『うん、お見舞いいくよ。いつものショートケーキでいい?』

『ごめんね、部活もあるのに……でも嬉しい。ありがとう』

電話の声もこの頃はまだ元気だったのだが、梅雨が明ける頃には学校に行くのもままならず、家でほとんど寝ている状態になっていた。電話で話すこともつらいのか、連絡はほとんどメールになり、頻度も減った。

由香が入院したと知ったのは、夏休みも終わりに近くなった頃のことだった。

「修二、由香ちゃんのお見舞いに行ってこい。場所はS病院だ」

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