オー!マイ・ハワイ!
「わかったよ、じゃあ今から金貯めとかないとな。結婚資金」

「うん。お小遣いだけで貯まるかな」

「まあやるだけやってみようか。これからはデートは図書館か公園かお互いの家だな」

「お昼はいつもお弁当?」

「そだな、パフェは食べ納めだな」

「味わって食べなきゃ!!」

「もうほとんどないじゃん!」

ゲラゲラ笑いながらそう話していたのは高3の春。こんなことになるとは、思ってもみなかったけど。由香と面会できるようになったのは、10月に入ってからだった。薬の副作用で頭の毛が抜けたのか、かわいらしいふわふわのニット帽をかぶって病室にいた。

「修ちゃん! 久しぶり」

笑顔は前のまま、体はまた一段と細くなっていた。

「由香、調子はどう?」

「うーん、薬のせいでいまいちだけど……しゃべれるようにはなった」

「うん……うん」

「ちょっと、泣かないでよ。わたし大丈夫だから。ね?」

そこから涙が止まらなかった。何をしたら由香が治るのか。何かできることはないか、高校生の俺はとにかくそれを考えていた。

「修ちゃん。大学生になったら結婚したいって話、覚えてる?」

「あぁ、俺はちゃんと貯金続けてるよ」

「すごい! だけど、まだ治療に時間がかかりそうなの。学校も留年するかもしれなくて……」

「俺、待ってるよ。だから早く治せよな」

「元気になったら、結婚してくれる?」

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