オー!マイ・ハワイ!
 「私もよ、都合いいじゃない。それじゃまたあとで」

 颯爽と去っていく里穂は自信に満ち溢れていて、ミスコンのときからもっとパワーアップした別の人のように見えた。 ファーストクラスの乗客の優先搭乗が始まった。里穂とそのパートナーであろう人もその中にいた。まなみはその姿を冷静に見つめていた。

 モデル活動をする里帆のことは素晴らしいと思う。ただ、自分の幸せにはそれは当てはまらなず、四季折々の自然を感じながら、汗水垂らして隆史と一緒に農業をすることがとても楽しみだった。

 もうその夢からは醒めてしまったことが、改めて悲しく惨めに思えた。

 滲んできた涙をぐっとこらえる。もう後ろは振り返らない。ハワイで人生を変えるなにかをつかんでみせる。ぐっと拳を握り直して、意気揚々とファーストクラスにのりこんだ。

 シートは1人で座るには十分すぎるくらい広く、フルフラットにでき、毛布もついていて最高だ。ハワイまでの時間を寝て過ごせる、至上の贅沢。

 機内食は、機内フルコース。前菜、スープにメインディッシュの肉料理、デザートはフォンダンショコラだ。

メインのフィレ肉のステーキは、地上で食べるのと変わらないくらいの美味しさだった。ミディアムに焼き上げた肉は、焦げ目もほどよくついていて、すっとナイフが入るほど柔らかい。

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