オー!マイ・ハワイ!
いろいろなことが浮かんでは消えていったけど、由香のことがやはり引っかかっていた。

由香は俺に新しい相手ができたらどう思うんだろう。由香より好きになれる人っているのかな。もしいたら、前に進むこと許してくれる?男気のある仕事ぶりとは反対に、隆史の女性関係はかなり激しめで、同じ女の子と長く付き合っている様子はあまりなく、酒の席で会うたびに違う子を連れていた。これも目標のひとつ? なのか?

富山での生活も3年目を迎え、今年度いっぱいでいまの会社を退職し、父親の会社にもどる手筈になっていた頃。

俺の会社もスポンサーを務めた「ミス富山コンテスト」があった。スポンサーということもあり、上司と一緒に大会を見学にいくことになった。

富山といえどミスコン。富山中のきれいな子が集まったという印象で、美しい子ばかり。

世の中にはきれいなひとがいるもんだなと、思わず見とれた。

由香のことがあってから、誰とも付き合ってこなかった。告白は何度もされたけど、どうにも心が動かなかった。由香のことが好き……ということではないと思っていたが、今思えば、引きずっていたのは間違いない。大会の合間の休憩時間、トイレに立つと廊下のすみの方で誰かしゃがんでいる人が見えた。服からして、ミスコンの出場者であるようだった。

よく見ると顔色が悪そう。

「大丈夫ですか?」

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