オー!マイ・ハワイ!
7.ずっと好きだった


──由香は俺の元婚約者。10年前に白血病で死んだんだ。詩乃は由香と仲が良かったから、辛く当たるんだと思う。気分を悪くさせて、申し訳ない──

修二はそう話すと、それ以上何も言わなかった。

まなみにも、修二が傷ついているのが痛いほど伝わった。詩乃のあの様子からして、由香という人が修二や詩乃にとってどれだけ大切だったか、容易に想像できた。重くなってしまった雰囲気。後で聞けば良かったかと思ったが、もう遅い。

とにかくステーキを食べて、空気をかえようと、店に入った。

「修二、ここのおすすめはなに?」

何もなかったように接する。まなみは、もはや自分にできることは、それ以外に何もないような気がした。

「そうだな、もっと人数いればトマホーク・リブアイにするところだけどふたりじゃ食べきれないから、無難にフィレ肉にしとくか!?」

「せっかくきたんだから、トマホーク食べたい!」

「1130gもあるんだぜ? 食べれる?」

「余裕だよ! それにしよ!」

修二は半分呆れたようにわかったというと、注文をした。前菜はサラダを一品のみにし、ステーキに集中する。

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