笑顔が消える
報告

「何よ。朝から変だよ、彩代。」
「えっ、嘘。変じゃないでしょ?」
「十分、変だから」
と、香菜恵に言われて
嘘だと····思いたい·····

何とかひやかされながら
その日を終わらせて
片付けをして
三人でホッとしていると

暁さんが入ってきて
「おっ、暁。
今、終わったんだ。すまん。」
と、太智さん。
「いえ、大丈夫です。
実は、今日は太智さんと香菜恵さんに
報告がありまして。」
と、言う暁さんの横に移動すると
香菜恵は、一瞬びっくりした顔をして
ニヤリと笑った。
「え〜っと。
やっと、本当にやっと。
昨夜、彩代に気持ちが通じました。
俺としては、直ぐにでも
戸籍で繋ぎたいのですが
彩代と一緒にいれる事を
感謝して生きて行きたいと 
思っています。
宜しくお願い致します。」
と、頭を下げる暁さん。
暁さんの言葉に感動しながら
頭を下げる。
太智さんは、
「暁。お前が彩代ちゃんを
ずっと想って見守ってきたのは
知ってる。
お前の気持ちもわかっている
つもりだ。
だからこそ、焦らずに
彩代ちゃんに寄り添って欲しい。
沢山傷ついて苦しんで来た娘だ。
俺も香菜恵も
彩代ちゃんが好きだから
彩代ちゃんには、
いつも笑って幸せであって欲しい。
彩代ちゃんを頼むな。」
と、頭を下げてくれた。
太智さん······
あまり、ベラベラと話す方ではないが
本当に優しくて大きな心の方だ。
「はい。」と、答える暁さん。
「太智さん······
と、言う私に
「太智に良いところ持って
行かれたけど。
暁さん、女性が苦手な貴方が
彩代にだけは違っていたから
もしかしたら····
あなたが、彩代を幸せにしてくれるかも
と、思っていたの。
どうぞ、私の大切な親友を
お願いします。
あっ、それと、お店は辞めて欲しく
ないな。」
と、言う香菜恵に
思わず抱きついて
「ありがとう。
香菜恵がいてくれたから
太智さんがいてくれたから
頑張れたの。」
と、言い
「あっ、お店は辞めたくない。」
と、暁さんの顔を見ながら言うと
「俺が、彩代を見つけた場所だから
取り上げないよ。
ただ、男性客にあまり笑顔を向けないで。」
と、言う暁さんに
私は真っ赤に
太智さんと香菜恵は、
呆れながら笑っていた。

それからは、四人で飲みながら
太智さんが簡単な食事を
作ってくれて食べ
私の報告と二人の今後も話した。
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