笑顔が消える
別れ
その日 私は修也さんに別れを告げ
田舎に帰りお見合いをする事にしたと
年老いた両親から
仕事を手伝って欲しいと
言われた事を含めて。
「修也さんの事は
本当に心から愛していました。
奥様に申し訳ないと
思いながら」
と、伝えると
「美弥。
すまない。
女性の五年間は長いよな。
俺の勝手で本当に申し訳ない。」
と、頭を下げる修也さんに
「奥様と別れて私と。
って、思われなかった時点で
修也さんにとって私の位置は
それだけ······だった·····と。」
と、私は母に言われた言葉を
修也さんに投げかけた。
母から
「美弥、お前は馬鹿だよ。
結局は、奥様と離婚してまで
選ばれなかったのだから。
口でいくら愛を囁かれても
所詮、騙された軽い女でしか
ないんだよ。
目を冷ましなさい。」
と。
「わからないなら
もう、帰って来なくて良い。
もう、娘はいないと諦める。」
と、言われた。
「何も知らない奥様に
ただ、ただ、申し訳ない。」と
母は、泣いていた。
そんなことない!!
奥様にも原因があるから
修也さんは、私へと逃げてきたんだ。
私に癒やされていたんだ、と。
私は、奥様より修也さんから
愛されてる、と。
そう、思った。
いや、そう思っていた。
だけど·····
それなら、どうして
私は、一人なの?
月曜日から木曜日まで
土日のどちらかも。
今は、土日も一人だ。
わかっていたのに
気づかないふりをしていただけ。
私は、翌日 母に連絡して
「こんな私でも良ければ
帰ってお見合いします。
お母さん。
こんな娘でごめんね。」
と、言うと。
「悪い事は悪いとわかる立派な娘や。」
と、言って貰えて
私は、
「ありがとう。」
と、泣いてしまった。
修也さんは、ただ、ただ
「すまない。」
と、ずっと頭を下げながら
帰って行った。