最強総長は姫を眠らせない。🌹
「雪乃、大丈夫だ。記憶が少しずつ戻ろうとしてるだけだから」
「記憶……?」
「雪乃、お前は中2の夏に一部の記憶を失ったんだ」
「そう…なの?」
「あぁ。俺からぜんぶ話すことも出来るけどどうする?」
聞きたい。
だけど、ぜんぶ聞いてしまったら宙くんが遠くなる気がする。
「いい…」
「自力で思い出すから」
「分かった」
宙くんはそう言うと私を離し、前にしゃがむ。
「乗れ」
「え、でも」
「そんな状態で歩けねぇだろ。早く」
私は宙くんの首に両手を回す。
宙くんはおんぶし、そのまま歩き出した。