最強総長は姫を眠らせない。🌹
「美青!? 何やってるの!?」
あかりちゃんが駆けて来た。
美青ちゃんが胸倉からパッと手を離す。
「ごほっ…」
私は咳き込む。
「何があったの?」
あかりちゃんが心配そうに尋ねると、私は無言で駆けていく。
「あ、ゆきのん!」
あかりちゃんが叫ぶと美青ちゃんはあかりちゃんに寄りかかり呟く。
「…冷静になれなかった」
「…否定したけどやっぱり、宙のことが好きだよ」
あかりちゃんが切なげな顔をする。
「美青…」
走りながら大粒の涙が零れ落ちていく。
私は宙くんが好き。
だけど否定出来なかった。
記憶をぜんぶ思い出したら、
琉くんの姫、つまり彼氏で、
美青ちゃんの、
宙くん達の敵になるのかもしれないから。