最強総長は姫を眠らせない。🌹

「ゆきのん、線香花火綺麗だね~」

「うん」
「あかりちゃん、耀(よう)くんとこ行って」

「え!?」

「私は(しゅん)くんとやるから」
 私が強く言うと、

「あ、あ、ありがと」
 あかりちゃんは耀(よう)くんのところへ行く。

(しゅん)くん、一緒にやってもいいかな?」

「いいぜ」

 線香花火をしながら、私は気づいてしまう。
 美青(みお)ちゃんを複雑な気持ちで見守る(しゅん)くんに。

(しゅん)くん、私、線香花火取って来るね」

「分かった」

 (しゅん)くんはずっと、美青(みお)ちゃんを見てる。
 私は(そら)くんを見ていられない。

 (しゅん)くんの隙を突いて私は線香花火を取りに行くフリをして一人で浜辺を歩いて行く。

 ここまで離れたら大丈夫だよね。

 私はうっとうしいボサ髪をパーカーのポケットに入ったゴムでポニーテールに結ぶと靴を左右脱ぎ、右手で持つ。
 そして裸足で再び浜辺を歩き始める。

 美青(みお)ちゃんとあかりちゃん、上手くいくといいなぁ。

 そう思う反面、涙が止まらない。
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