最強総長は姫を眠らせない。🌹
それから背中を宙くんに見てもらい、
パーカーの赤色のインクが雨で流れ落ちたことが分かると、
しゅるっ。
髪のゴムをほどかれる。
私は渡されたゴムをパーカーのポケットに入れ、
海の家までおんぶしてもらい、美青ちゃん達と合流した。
「雪乃!」
「ゆきのん! よかったぁ」
美青ちゃんとあかりちゃんにぎゅっと抱き締められ、
私と宙くんはタオルで髪やパーカーを拭く。
そして雨が止むと、みんなで海の家から駅まで歩き、
行きと反対側のホームから電車に乗る。
隣には少し髪が湿った宙くん。
かっこよくて、色気もあって、
揺れ動く電車の中、
私は一睡も出来なかった。