最強総長は姫を眠らせない。🌹

 私はバイクの車体に掴まる両手を離し、ぎゅっと(そら)くんの腰に両手を回す。

 まずい。
 まずいって。
 心臓の音、聞こえちゃう。

「ちゃんと掴まってろよ」

「あ、うん」

「じゃあ行くわ」
 (そら)くんのバイクが走り出した。



 15分後。川の土手に着いた。
 ガードレールの向こう側には向日葵(ひまわり)が綺麗に咲き乱れている。

「ここって中2の夏に来たよね?」

「あぁ。自転車で2人乗りしてな」
「俺の家からだと5~10分で着く」

「そうだったね」
「なんでここに?」

「約束しただろ」

「約束?」
 私は首を傾げる。


「またここで一緒に花火見ようって」

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