最強総長は姫を眠らせない。🌹

 その時、ヒュー…。
 突然、大きくて綺麗な青い羽に包まれた赤オレンジ色のハートの花火が上がり、

 ドォォン…。
 夜空にキラキラと輝いた。

 ズキン!
 頭の中の絡まった茨が一気に眠りから覚め、物凄い痛みに襲われる。

「ああっ!」

雪乃(ゆきの)!」
 (そら)くんは叫ぶと隣から私を抱き締めた。



 中2の夏の映像が頭の中を駆け流れていく。

 黒髪の(そら)くんとポニーテールの私。

『ハートの花火、綺麗っ』

『内緒で来て良かっただろ?』
雪乃(ゆきの)、来年もここで一緒に花火見ような』

『うんっ、約束だよ』

 私は満面の笑みで(そら)くんと指切りをした。

 花火が終わると、
 裏道を自転車をひいて歩く(そら)くんと隣を歩くロングボブで右の手首にシュシュをつけた私。

 特攻服を着た水色髪の男子が現れる。


『誰の許可取ってここを歩いてる?』


 ガシャーンッ!
 (そら)くんは自転車を水色髪の男子に倒して、私の手をひいて逃げる。

『ざーんねん! もう逃げられないよ』
 水色髪の男子がにっこりと笑った。
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