最強総長は姫を眠らせない。🌹
その時、ヒュー…。
突然、大きくて綺麗な青い羽に包まれた赤オレンジ色のハートの花火が上がり、
ドォォン…。
夜空にキラキラと輝いた。
ズキン!
頭の中の絡まった茨が一気に眠りから覚め、物凄い痛みに襲われる。
「ああっ!」
「雪乃!」
宙くんは叫ぶと隣から私を抱き締めた。
*
中2の夏の映像が頭の中を駆け流れていく。
黒髪の宙くんとポニーテールの私。
『ハートの花火、綺麗っ』
『内緒で来て良かっただろ?』
『雪乃、来年もここで一緒に花火見ような』
『うんっ、約束だよ』
私は満面の笑みで宙くんと指切りをした。
花火が終わると、
裏道を自転車をひいて歩く宙くんと隣を歩くロングボブで右の手首にシュシュをつけた私。
特攻服を着た水色髪の男子が現れる。
『誰の許可取ってここを歩いてる?』
ガシャーンッ!
宙くんは自転車を水色髪の男子に倒して、私の手をひいて逃げる。
『ざーんねん! もう逃げられないよ』
水色髪の男子がにっこりと笑った。