最強総長は姫を眠らせない。🌹


「わぁ、向日葵(ひまわり)綺麗っ!」
 8分後。川の土手に着いた私は声を上げた。

「見て見て(そら)くん!」
「ガードレールの向こう側に向日葵(ひまわり)たくさん咲き乱れて…」

 (そら)くんは両ハンドルに体重をかけて伏せ寝する。

 え!? (そら)くん、ゼーハー、ゼーハー、と苦しそう!

(そら)くん、大丈夫!?」
 私は横向きのまま腰に両手を回した状態で声をかける。

「あぁ、全力で漕いだからな」

 ヒュー…。
 大きくて綺麗な青い羽に包まれた赤オレンジ色のハートの花火が上がり、

 ドォォン…。
 夜空にキラキラと輝いた。

「ハートの花火、綺麗っ」

「内緒で来て良かっただろ?」

 あ、(そら)くん、優しく笑って…。


雪乃(ゆきの)、来年もここで一緒に花火見ような」


「うんっ、約束だよ」

 私は満面の笑みで(そら)くんと指切りをした。
< 229 / 392 >

この作品をシェア

pagetop