最強総長は姫を眠らせない。🌹


 それから1時間30分後。

「花火終わっちゃったね…」
 私がしゅんとしたまま残念そうに言うと、

 (そら)くんは地面を見て気づく。
雪乃(ゆきの)、シュシュ、落ちてるぞ」

「あ!?」

 いつの間にか髪のシュシュ取れてる!
 花火に夢中で全然気づかなかった…。
 恥ずかしい!

 え、(そら)くん、シュシュ拾ってくれて…。

「ほら」

「あ、ありがとう」
 私はお礼を言い、シュシュを受け取る。

 花火終わっちゃって帰るだけだし、
 結ばずロングボブのままでいっか…。

 右の手首にシュシュをつけると、

「じゃあ帰るか」
 (そら)くんが無表情の顔で言った。

 正直、まだ帰りたくないな…。
 もしお母さん達、帰って来てたら怒られそうで嫌だし…。
 でも、(そら)くんは帰りたいよね。

「あ、うん…」

「歩きでいいか?」

 帰りも2人乗りしたかったけど、
 行き、全力だったから、さすがに疲れたよね…。

「うん」

 了承すると、(そら)くんがスタンドを後ろに蹴り上げ、自転車を押して歩き始めた。
 私も足を踏み出す。
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