最強総長は姫を眠らせない。🌹

 それを私が奪ったんだ。

 ふたりの幸せを私が。

 “(そら)といるのはもうやめたら?”
 “敵の姫になる約束をしたかもしれない君が(そら)と一緒にいるべきじゃない”
 “(そら)といるから苦しむ”
 “離れた方がもう苦しまずに済むんじゃないかな?”

 文化祭の前日、耀(よう)くんに教室で言われた言葉が頭を()ぎる。

 そうだ、耀(よう)くんの言う通りだった。

 (そら)くんと…みんなと離れたくない!
 なんて思う事自体、間違いだったんだ。

 ぜんぶ思い出してしまった以上、
 もう(そら)くん達とは一緒にはいられない。

「ずっとお前に謝りたかった」
「やっと言える」

 (そら)くんは丸椅子に座りながら深く頭を下げる。

雪乃(ゆきの)

「あの日、お前を連れ出して」
「お前を守れなくて、本当にすまなかった」

「俺がもっと強かったらあんな約束させずに済んだ」
「お前のお袋と俺の親父が離婚することもなかった」

 一筋の涙が私の頬を伝う。

「っ…」

 なんで……。

 なんで…謝るの?


 (そら)くんのせいじゃないのに!!!!!

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