最強総長は姫を眠らせない。🌹

「もういい!!」

(そら)くん、教室に戻って」
「顔も見たくない」
「一人にして」

「…分かった」
 (そら)くんは両目に前髪がかかったまま答えると、

 ガタッ。
 私の顔を見ずに丸椅子から立ち上がる。

 これでいい。
 このまま距離を置こう。
 そしてもう二度と関わらなくなればいい。

 (そら)くん保健室のベットから離れると、
 私は起き上がってベットのフチまで少し移動し、

 シャッ!
 カーテンレールを閉めると、くらっとして、

「ぁ……」

 その場に座り込む。

 (そら)くんは立ち止まって振り返ると、

雪乃(ゆきの)!? おい!?」
 カーテンレールの外から必死に声をかけてきた。

 あぁ、だめだな、私。
 引き止めてどうするの。
 突き放そうと思ったのに。

 これ以上、(そら)くんに迷惑かけたくない。
 苦しめたくないのに。

 一緒にいたら、だめなのに。

 分かってる。
 分かってる。

 分かってる!

 だけど――――。

「叶わなくても……いい」

「届かなくたって……いい」

 カーテンレールを開けられないように、ぎゅっと両手で握り締めながら呟く。
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