最強総長は姫を眠らせない。🌹

「…さっきの約束、誰にも言うなよ」
「…内緒だからな」
 (そら)くんが私の耳元でボソッと囁く。

「…うん、内緒」

 私達は2度目の約束をした。
 だけどそれを叶える為には壁がある。

 お母さんは私の幸せを願わない。

 絶対に私達を受け入れてはくれない。



 コトッ…。

 10月27日の夜。ビックTシャツにショートパンツ姿の私は居間のテーブルに昨日書いた手紙と家のスペアキーを並べて置いた。

 この一週間、
 お母さんに(そら)くんとのことを話そうか迷ったけど、
 話したところで許してくれるはずがないのは分かり切ってて、
 結局話せなかった。

 昨日はお母さんに左の頬を平手打ちされて、
 顔に缶ビールをかけられた。

 それでも泣きながら部屋でお母さん宛の手紙を震えながら書いた。
 これで最後になるかもしれないから。
< 279 / 392 >

この作品をシェア

pagetop