最強総長は姫を眠らせない。🌹
綺羅星と春月の光に照らされた綺麗な紫色の髪。
5代目総長鬼雪と背中に書かれた紫の字を金色で囲った黒の特攻服。
黒のバイクに乗った宙くんがいた。
え……宙くん?
なんで――――。
「ひええっ、すいませんでしたぁ!!」
酔っ払いのおじさんはパッと腕を離すと慌てて逃げていく。
宙くんは路肩にバイクを停め、かっこよく降りる。
これは、夢?
「宙くん…なの?」
「あぁ。暴走族鬼雪の総長やってるって言ったろ?」
「どうしてここに?」
「マンション、高校の近くだって…」
「あぁ、詳しく言ってなかったな」
「マンションの近くに駅があって、高校まで一区間で行けるんだよ」
「それだったら歩きとか自転車とかの方が早く着くんじゃ…」
「それが電車のが早いんだわ」
「だから昨日、駅に着いて階段上がろうとしたらお前が見えた」
そうだったんだ…。
「今日は?」