最強総長は姫を眠らせない。🌹
私は、ふっ、と力なく笑う。
きっとこの手紙も破り捨てられて、読んでもくれないんだろうな。
「お母さん、ごめんね……」
私は学生鞄を右肩にかけ、水色のスーツケースを引きながらショートブーツで歩き、マンションの部屋を出た。
その後、しばらくして私は電車に乗る。
日曜日の夜だからか車内はガラガラ。
窓の外を見ると、月が出ていた。
私はスーツケースを隣に立てたまま、自分の口に右手を当てる。
両肩が震えて、涙が止まらなかった。
*
「何よ、真っ暗じゃない」
雪乃の母、雪は勤め先の病院から帰って来た。
巻いたロングの片方を左肩に乗せ、デニムにホワイトニットを着ている。
「電気はあれ程つけとけって言ってんのに」
雪はパチッと押して電気をつけ、汚いソファーに鞄を放った。
「ん? スペアキーと手紙?」
雪は手紙を取って読む。