最強総長は姫を眠らせない。🌹
宙くんは右手を退け、私をカーテンに押し付ける。
あ、指で涙、優しく拭われ……。
「分かった、もっと巻き込むわ」
そのまま宙くんの唇が重なった。
*
11月15日の放課後。私はあかりちゃん達と校門に向かって歩いていた。
「カラオケで歌いまくるぞ~!」
春くんは、ぶはっと笑う。
「あかり、気合入ってんな」
「だって今日は宙のおごりだからね」
「耀、宙はもう先に行ったんだよな?」
「うん、行ったよ。バイトの先輩に呼ばれて」
「雪乃、宙のバイト姿見るの初でしょ?」
「楽しみだね」
「うん、楽しみ」
私は微笑みながら美青ちゃんに返す。
「ねぇ、見て! 星羽高の男子じゃない!?」
女子の声が聞こえ、前を見ると、高校の敷地を囲む高い塀の内側に女子達が群がっている。
「花城さんの彼氏って噂だよ」
「嘘ぉ~」
それだけで見えなくても誰なのか分かってしまう。