最強総長は姫を眠らせない。🌹

 族達はざわめく。
「やべぇ、このままだとふたりとも海にドボンだぞ!」

 (そら)くん、お願い。
 勝って!

 (そら)くん達はアクセルを戻して、ブレーキをかける。
 ふたりのバイクはキィーと言うタイヤの(きし)む音と共に岸壁からわずか数センチのところで停まった。

 族達は興奮する。
「やべぇ! 鳥肌たったわ」
「ブレーキのタイミング、絶妙!」
「一体どっちが勝ったんだ?」

「1センチ差といったところか」
 雪平(ゆきひら)さんは興奮気味に笑う。

「素晴らしい、この俺を倒すとはな」

雪平(ゆきひら)さんもさすがです。腕落ちてないっすね」

「当然だ。(そら)、受け取れ」
 雪平(ゆきひら)さんは特攻服の裏に装着したガンフォルダーから改造銃を取り出し、手渡す。

「これは?」

鬼雪(おにゆき)が代々受け継いできた改造銃だ」
鬼雪(おにゆき)を乗っ取り、この俺をも倒したお前が最も持つに相応しい」

「サツの事は気にするな、俺が全て握り潰す。だから」

 雪平(ゆきひら)さんは冷ややかな目で(そら)くんを見つめる。


「絶対に氷浦(ひうら)を潰せ」


「はい、必ず潰します」
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