最強総長は姫を眠らせない。🌹
「久しぶりだね、雪乃」
6代目総長氷浦の白い特攻服を着た白坂さんが歩いて来た。
外に跳ねた白のセミロングは昔よりも伸びている。
え、琉くんのお兄さん!?
「お、お久しぶりです」
「OBと見守りってことで参戦したよ」
「やっとこの日が…」
「兄さん嬉しいよ」
「6代目総長が泣いてんじゃねぇ」
琉くんが冷たく言うと、白坂さんは涙を腕で拭う。
「じゃあ正式に琉の姫になるということで“今から口づけ”してもらおうか」
え……。
「それは約束には入ってなかったですよね…?」
「あれ? 言ってなかったかな?」
「ウチの族は代々、姫を貰う時、仲間の前で口づけするんだよ」
何それ……聞いてない。
白坂さんは耳元で囁く。
「琉の姫になる覚悟で来たなら、それちゃんとみんなに示さなきゃね」
「っ…」
バイクのエンジン音が聞こえた。
「雪乃!」
え、宙くん、なんで……。
追いかけて来てくれたの?