最強総長は姫を眠らせない。🌹
黒のパーカージャケットを着た宙くんの前に琉くん以外の暴走族氷浦19人が立ち塞がる。
「宙久しぶり。かっこよくなったね」
「だけど」
白坂さんは余裕の笑みを零す。
「この人数、一人では倒せないね」
「っ…」
「宙く…」
「余所見してんじゃねぇよ」
私はグィッと右腕を引き寄せられ、琉くんに唇を奪われた。
琉くんは唇を離す。
「これでお前は俺の正式な姫だ」
宙くんの前でキスされたくなかった。
だけど、これでいいんだ。
「じゃあ行こうか、姫」
「はい…」
リアシートに跨ると琉くんは前のシートに跨る。
「雪乃、待ってろ!」
「ぜってぇ諦めんなよ!」
「必ず俺が迎えに行くからな!!」
私は泣きながら笑う。