最強総長は姫を眠らせない。🌹

 私は絶望する。

 そん…な……。


「最初から…殺すつもりだったの…?」
「今までの態度は…ぜんぶ嘘だったの…?」


「そうだ、お前は最初から人質だからな」

「ひどい…」

 じゃあこのまま眠ったら私、(りゅう)くんに殺されちゃうの?

 そんなのやだ、眠りたくない!

 ずるっ。

 え?

 私はベットから落ちそうになる。

 (りゅう)くんはとっさに起き上がり、私の頭を支えた。

「危ねぇ」

 “ぜってぇ諦めんなよ!”
 “必ず俺が迎えに行くからな!!”

 (そら)くんの声が脳裏に響く。

 (そら)く…帰り…たい。

 帰りたい。

 帰りたい!

 だから――――。

「私は…眠らない」
「ぜったい……」

 …でもほんとうは分かってる。


 もう2度と帰れない。


 (りゅう)くんは頭を支えたまま、私のシルバーネックレスに自分の人差し指を入れて引っ張る。
< 365 / 392 >

この作品をシェア

pagetop