最強総長は姫を眠らせない。🌹

 ぐっとスマホを持つ(そら)の右手に力が入る。
「てめぇ、何言って…」

『言葉だけじゃ信じられねぇよな?』
『今からトークに写メ送ってやる』

 電話が切れた。
 すると、雪乃(ゆきの)が写真を送信しましたという通知が届く。

 (そら)は通知をタップすると、トーク画面の写メを見て驚く。

 全身血だらけ。
 グレーのボアパーカーは乱れ片方のブラ紐が見え、裸足でベットの上に眠る(ゆきの)が写っていた。

 シュポッ、シュポッ、シュポッ、と続けてトークが送られてくる。

『言っておくがこれはフェイクじゃねぇ、事実だ』

鬼雪(おにゆき)だけは潰すなと、お前を殺すなという雪乃(ゆきの)の最後の願いは叶えてやる』

『じゃあな、黒沢(くろさわ)

 カンッ。
 スマホが右手から滑り、床に落ちた。

 (そら)はその場でしゃがみ込み、両目を右手で隠す。
 絶望で涙すら出てこない。

 ただただ雪乃(ゆきの)との日々が(そら)の脳裏を駆け巡る――――。
< 369 / 392 >

この作品をシェア

pagetop