最強総長は姫を眠らせない。🌹
ぐっとスマホを持つ宙の右手に力が入る。
「てめぇ、何言って…」
『言葉だけじゃ信じられねぇよな?』
『今からトークに写メ送ってやる』
電話が切れた。
すると、雪乃が写真を送信しましたという通知が届く。
宙は通知をタップすると、トーク画面の写メを見て驚く。
全身血だらけ。
グレーのボアパーカーは乱れ片方のブラ紐が見え、裸足でベットの上に眠る姫が写っていた。
シュポッ、シュポッ、シュポッ、と続けてトークが送られてくる。
『言っておくがこれはフェイクじゃねぇ、事実だ』
『鬼雪だけは潰すなと、お前を殺すなという雪乃の最後の願いは叶えてやる』
『じゃあな、黒沢』
カンッ。
スマホが右手から滑り、床に落ちた。
宙はその場でしゃがみ込み、両目を右手で隠す。
絶望で涙すら出てこない。
ただただ雪乃との日々が宙の脳裏を駆け巡る――――。