最強総長は姫を眠らせない。🌹
ドンドンッ。
玄関の扉を叩く音が聞こえたのはそれから夜のことだった。
「宙今すぐ開けろ。扉ぶっ壊すよ」
耀のキレ気味の声が外から聞こえ、宙は渋々立ち上がり、玄関の扉を開ける。
鬼雪の特攻服姿の耀だけではなく、同じ格好の春、美青、あかりもいた。
耀は、はぁ、とため息をつく。
「お前まだパーカージャケットのままかよ」
「ちょっと宙、何やってんの!?」
腕組した美青がキレる。
「もう集会始まってるよ」
「とりあえず、親衛隊補佐に任せてきたぜ」
あかりと春は続けて言う。
「総長のお前がいなかったら伝えらんねぇだろうが。さっさと特攻服に着替えて来い」
「…行かねぇ」
拒否された耀は宙の腕を掴む。
「死んだ目して抜け殻みてぇなツラだな…体調でも悪いのか?」
「それとも雪乃ちゃんのこと気にしてんの?」
「もういねぇ」
「…は?」
耀は聞き返す。
「……雪乃は死んだ」