最強総長は姫を眠らせない。🌹


 10分後。1階の奥まで着いた私は立ち止まる。

 目の前の教室の扉には立ち入り禁止と書かれた紙がテープで貼ってあって、
 ほんとうは入っちゃいけないけど。

「失礼します」

 ガラッ。
 私は空き教室の扉を開ける。

 誰もいないって分かっててもつい、「失礼します」って言っちゃうな…。

 ここは元生徒会室。
 今では使われてなくて空き部屋になってて、
 4月の入学式以降、
 ぼっちな私はクラスにいずらくて居場所を探してたら、
 偶然この部屋の鍵が壊れてて入れて、
 今ではこっそり使わせてもらってたりする。

 私は扉を閉めて、廊下側の窓の前に座った。
 そして(あらかじ)め置いてあるふわふわのグレーチェックの膝かけをかける。

 やっぱりここ、落ち着くなぁ。

 私は首のネックレスを白いシャツの中から取り出し、右手の平に乗せたまま見つめる。

 “義理の妹だって”
 “それ以上でもそれ以下でもねぇよ”

 (そら)くんの言葉を思い出したら涙出てきちゃった…。

 ガラッ。
 空き教室の扉が開いた。

 びっくりしてネックレスを手放す。

 え、もしかして先生!?
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