最強総長は姫を眠らせない。🌹


「なんか距離、遠くね?」
 昼休み。1階奥の空き教室で右膝を立てて座った(そら)くんが言った。

 私は外に出しているネックレスを右手でぎゅっと掴む。

 ドックン、ドックン、ドックン。

 ふたりきりなだけで、もう胸が騒がしい。
 い、意識しすぎて、近づけない……。
 お、落ち着いて私。

「わ、私に構わず寝て」
「終わりのチャイム鳴ったら、ちゃんと起こすから」

「悪いけど俺、眠れそうにないわ」

「あ、朝のHR(ホームルーム)で寝てたもんね?」

「違げぇよ」
 (そら)くんはそう言って立ち上がると、私に近づいてくる。
 そして私の隣に座ると、

 しゅるっ。
 私の制服のリボンをほどいた。

 その瞬間、時が止まったかのように思えた。
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