最強総長は姫を眠らせない。🌹
宙くんが今、目の前にいる。
泣かずにはいられない。
「はっ、女の子が落ちそうになってんのに全員見て見ぬふりかよ」
宙くんは嫌味を言うと、赤髪のヤンキーを鬼の形相で睨みつける。
「で? 弁償がなんだって?」
「お、お前、鬼雪の総長!?」
「すんませんでした!!」
赤髪のヤンキーは血相を変え、慌てて逃げていく。
え……。
今、なんか凄いワード言わなかった?
「雪乃、右足、大丈夫か?」
あ、ローファー脱いだままだった…。
「ローファー履いてた時、つま先の部分踏まれたんだけど」
「つま先の部分まで足届いてなくて、なんとか脱げてセーフだったよ」
「そう。制服は? 濡れただけ?」
「あ、うん」
せっかく宙くんと再会出来たのに、グレープフルーツ臭いなんて…。
「はー、良かった」
宙くんは安堵すると私の前に右足のローファーを置く。
「ほら履けよ」