破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
「ねえ。クレメントって、なんでランスロットの事をそこまで意識しているの? ランスロットは、それほどクレメントの事をどうこう思ってなかったみたいだけど……あんな酷い事、されたのに」

 言外に私が言わんとした事を察したクレメントは、大きく顔を歪めて息を吐いた。

 きっと彼だって、ランスロットから相手にされていない事はわかっている。

 真面目なランスロットはクレメントと私が付き合い始めて、ひどく傷付けられたというのに。自分の事を置いてでも、私の心配ばかりしていたんだと思う。クレメントがそんなランスロットを嫌う理由が、私にはわからなかった。

「……騎士学校の頃から、あいつの事は気に入らなかった」

「気に入らないって……そんな理由なの?」

 どこか投げやりに放たれた言葉に対して、私は呆れた。騎士学校への入学は十六歳からだ。国民の義務である初等学校の話では、ないもの。

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