破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
◇◆◇
ようやく途切れた緑の枝葉を抜けて、私たちは小さな広場のようなところへと辿り着いた。そこに建てられた、いかにも歴史を感じる苔むした石造りの建物を見て、私はすぐ後ろから付いてきていたクレメントを振り返った。
彼はすぐに私の言いたいことを察して、微妙な表情で口を押さえた。
「あー……これか。なんか予想より……めちゃくちゃ、ボロくね? 不便だし……こんなとこに、良く住んでんな。まあ、それは別に良いか。ディアーヌは俺の後ろに居て、黙っててくれ。挨拶する。殿下から、魔女に渡す書状は預かっているから」
「わかった」
私が神妙な表情で頷いたので、クレメントは吹き出して笑った。
「あれ? さっきまでの勢い、どこ行った? 絶対に、ランスロットを元に戻したいんだろ?」
揶揄うような口調で、クレメントは笑った。
ようやく途切れた緑の枝葉を抜けて、私たちは小さな広場のようなところへと辿り着いた。そこに建てられた、いかにも歴史を感じる苔むした石造りの建物を見て、私はすぐ後ろから付いてきていたクレメントを振り返った。
彼はすぐに私の言いたいことを察して、微妙な表情で口を押さえた。
「あー……これか。なんか予想より……めちゃくちゃ、ボロくね? 不便だし……こんなとこに、良く住んでんな。まあ、それは別に良いか。ディアーヌは俺の後ろに居て、黙っててくれ。挨拶する。殿下から、魔女に渡す書状は預かっているから」
「わかった」
私が神妙な表情で頷いたので、クレメントは吹き出して笑った。
「あれ? さっきまでの勢い、どこ行った? 絶対に、ランスロットを元に戻したいんだろ?」
揶揄うような口調で、クレメントは笑った。