破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
私は彼の大声を聞いて、驚いて目を見開いた。クレメントは付き合っている時、小さな喧嘩になったとしても、こんな風にして怒鳴ることなんて……彼はしなかったから。
ぽろりと涙が溢れたのは、単なる不可抗力だ。
別に彼に怒鳴られた事自体が悲しかった訳ではなくて、薬草が無事でほっとして……あと凶悪な蛇の顔には、本当に驚いたから。
でも、それを見ていたクレメントはそう思わなかったのかもしれない。私を付き合った時のように、ぎゅうっと抱き締めた。その行為に対する余りの驚きに、それをすぐさま拒否することが出来なかったのは仕方ない。どうか、許して欲しい。
元彼クレメントの匂いは、当たり前のことだけどそれに慣れ親しんでいた頃のそのままだった。
「ディアーヌ……ごめん」
「……はなして」
「ごめん……俺が使った火が落ちて、危険を承知で消しに来たんだな」
その言葉を聞いて、クレメントも私がそうしようとした状況を把握したんだと知れた。だからって、この体勢はおかしいと思う。
私たち、関係上はもう他人だし。なんなら、目的を果たして、早く帰ってランスロットに会いたい。
ぽろりと涙が溢れたのは、単なる不可抗力だ。
別に彼に怒鳴られた事自体が悲しかった訳ではなくて、薬草が無事でほっとして……あと凶悪な蛇の顔には、本当に驚いたから。
でも、それを見ていたクレメントはそう思わなかったのかもしれない。私を付き合った時のように、ぎゅうっと抱き締めた。その行為に対する余りの驚きに、それをすぐさま拒否することが出来なかったのは仕方ない。どうか、許して欲しい。
元彼クレメントの匂いは、当たり前のことだけどそれに慣れ親しんでいた頃のそのままだった。
「ディアーヌ……ごめん」
「……はなして」
「ごめん……俺が使った火が落ちて、危険を承知で消しに来たんだな」
その言葉を聞いて、クレメントも私がそうしようとした状況を把握したんだと知れた。だからって、この体勢はおかしいと思う。
私たち、関係上はもう他人だし。なんなら、目的を果たして、早く帰ってランスロットに会いたい。