破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
「お前の言う通り……確かに、俺は最低だよ。だが。ランスロットだって、そうだと思わないか? お前を傷つけたくないからと、よくわからない理由でずっと俺の事を黙ったままでいたんだ。どうせ近い未来には、傷つく事になるんだ。それならお前にちゃんと話すべきだったと、そう思わないか?」

「それは! 私が、クレメントの事を好きに……なってて。だから……」

「そうだろうな。俺だって、王宮騎士団の筆頭騎士の一人で女に嫌われる風体でもない。デビュー直後の、無知で純情な令嬢を誑かすくらい訳もないよな。だが、あいつはそれを知っていて、一年も黙っていたんだ。惚れた女が騙された事を知っているのに、それなのに何も言わなかったんだ。俺のした事が罪なら、あいつだって立派な罪に当たるとは、思わないか? あいつは、お前を傷つけたくないんじゃなくて……」

 自分のしたことを棚に上げて、ランスロットを悪者にしようとしてる? 今更、一体何が言いたいのかわからなかった。そんな事、当事者である私が一番思っていて。自分で落とし所を見つけている話だと言うのに。

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