破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
「あんなに、酷い事をされたのに……ちょっと話したからと言って絆されては、駄目でしょう?」

 真剣な表情のラウィーニアが何を言わんとしているのかは、わかる。でも、こんな事態になった不幸中の幸いというか。

 クレメントとあんな理由で声を掛けられ付き合っていた事が、彼と再度話すことによって、私の散らかっていた心中で最後の整理をつけることが出来た。

「それは……理解してはいるわ。でも、もう一度きちんと二人で話して。彼だけが一方的に悪い訳ではなくて、私にも悪いところがあったって冷静に考えて理解出来たわ。始まりの理由は確かに酷くて最低だったけど、あれだけ近くに居たんだから、私の良さをわかって貰うことだって、出来たはずよ。でも、それは出来なかった。ただただクレメントの事を好きなだけだった。とは、言っても……侮られて軽く見られたら、それで関係は終わってしまう。恋愛って、どちらかが悪いなんてないと思った。騙していた彼と、ヒントはそこら中にあったのにそれに気がつかなかった私。そうして学べたものがあっただけ、良かったわ。次の恋は、絶対に失敗したくないもの」

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