破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
 ランスロットは私の身体を優しく刺激しつつ、キスは止めない。なんていうか手慣れてるし、器用だし。止めなきゃいけないのをわかっているのに、身体が言う事を聞いてくれない。出来れば、このままめくるめく快感の海へ流されたい。

 美しい銀髪が目の前をさらりと流れ、ランスロットに首筋を舐められた時に、私はようやく自分が自由に声を出せる状態なのに気がついた。

「っ……ちょっと、ちょっと待って」

「待てない。もうディアーヌは、僕の恋人なので。問題はないはずですよね?」

「ちょっ……待って。私、だって……一応貴族の娘なので……」

 結婚するまでは節度を持った付き合いが求められると、なんとか私たちの中にある消え入りそうな理性の炎を焚きつけようとした。決まった婚約者同士であれば、婚前交渉なども大目に見られる場合もあったりするだろうけど、付き合ったばかりだし。

「問題ありません。責任は取ります。僕では、ダメですか?」

 彼みたいな人に、そう乞われて理性を保てる人はとっても尊敬出来る。

「ランスロットって……すごく強引なのね。知らなかった」

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