破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
それは必ず血筋を残さねばならない王となる身分も考えて、正妃の他にも側妃を娶ることも想定してのことだったとは思う。けれど、王太子殿下が選んだのはこのラウィーニアただ一人だけだった。他に側妃を娶る時は、数年間彼女との間に子どもが出来なかった時のみという破格の好条件付き。
他の令嬢達は候補としてはお払い箱になるとは言え、美しく高い身分を持ち、もしかしたら未来の王妃になるかもしれないと施された高い教養も兼ね備えている。王太子妃候補だったという揺るぎない事実も手伝い、彼女達はこの先良い縁談には、決して困らないだろう。
「だって、付き合ってからもう一年も経っているというのに、ディアーヌはクレメントの前では猫を被ったままだったでしょう。お茶会だって夜会だって、向こうの機嫌を窺ってばかりで。言いたいことも言えずにお互いの素が出せない恋愛関係なんて、いずれ破綻するしかないわよ。もし結婚すれば同じ家に住み、かなりの時間を共に過ごす事になるのよ。生涯猫をかぶり続けるなんて、絶対に不可能だもの」
ラウィーニアの胸に突き刺さる指摘は、いつも鋭く的確だ。
他の令嬢達は候補としてはお払い箱になるとは言え、美しく高い身分を持ち、もしかしたら未来の王妃になるかもしれないと施された高い教養も兼ね備えている。王太子妃候補だったという揺るぎない事実も手伝い、彼女達はこの先良い縁談には、決して困らないだろう。
「だって、付き合ってからもう一年も経っているというのに、ディアーヌはクレメントの前では猫を被ったままだったでしょう。お茶会だって夜会だって、向こうの機嫌を窺ってばかりで。言いたいことも言えずにお互いの素が出せない恋愛関係なんて、いずれ破綻するしかないわよ。もし結婚すれば同じ家に住み、かなりの時間を共に過ごす事になるのよ。生涯猫をかぶり続けるなんて、絶対に不可能だもの」
ラウィーニアの胸に突き刺さる指摘は、いつも鋭く的確だ。